高野連に強烈なアンチテーゼを。「甲子園を目指さない野球部」芦屋学園の取り組みが非常に面白い!
今、高校野球に新しいカテゴリが作られようとしています。
それは全高校野球児が目指すであろう聖地甲子園をあえて「目指さない」野球部。 芦屋学園高等学校の野球部です。
この芦屋学園高校の野球部は高校野球連盟に所属していないため、甲子園を目指すことが出来ず、高野連に所属している高校との練習試合が出来ません。
取り組みは、「芦屋学園スポーツモダニズムプロジェクト」の一環で、野球だけではなく、バスケもbjリーグの「大阪エヴェッサ」と提携を組んでいます。 芦屋学園スポーツモダニズムプロジェクト
ではどのように活動していくのか?そして「甲子園を目指さない」という、球児にとって目標がない場合、どこに目標をおくのか?興味があったので少し調べてみました。
高野連に所属しないメリット
僕が高校生だった頃(10年前ぐらい)、現役や元プロ選手が学校に来てお遊びでプロ同士の試合をするテレビの収録をしにきてくれたことがありましたが、野球部員は参加することも出来ませんでした。 それぐらい高野連とプロの溝は深いのです。
すなわち、高野連に所属している大きなデメリットは現役プロ選手の指導を受けれないことになるでしょう。 最近は元プロ野球選手であれば研修を受けて指導することが可能になりましたが、ちょっと前までは元プロ野球選手の指導も受けることが出来ませんでした。
芦屋学園の構成を少し説明します。 芦屋学園中学・高校は、関西独立リーグの兵庫ブルーサンダースの下部組織「育成軍」として所属します。(ちなみに芦屋大学は兵庫ブルーサンダースの2軍に所属) すなわち、独立リーグといえどプロと一緒にプレーすることが可能です。 via:ASMPが目指すもの|芦屋スポーツ
また、元日ハム・阪神の片岡篤史さん、元阪神の平田勝男さんが客員教授として指導に携わります。
このような構成なので、**中学から大学まで一環でプロに近い環境で野球が出来る。**また、将来を見据えた野球への取り組みとして、例えばMLBが嫌う「投げ過ぎ」や「過密日程」を考慮することだって出来ます。
夏の甲子園はアメリカでも注目されている ー連投の済美・安楽を通じて知らされる甲子園の伝統ー (THE PAGE) - Yahoo!ニュース
プロ野球を目指すこと=甲子園に行くことだけだった道がこのように広がるわけです。 プロ志望届は高校3年生が高野連に対して提出するものなので、高野連に所属していない芦屋高校の場合は例えば高1や高2で抜きん出た能力がある選手なら、そのままドラフトにかかる可能性だってあります。
「今まで当然だった道」以外にも方法が出来たということにすごくワクワクします。
でもデメリットだってある
「高野連に所属しない」ということは先ほども書きましたが、こんなデメリットがあります。
- 春の選抜・夏の選手権大会へ出場することが出来ない
- 高野連に所属している高校=ほとんどの高校と練習試合が出来ない
これは物理的なデメリットですね。同年代の選手と試合が出来ないこと、そして甲子園の土は「高校球児」としては踏めないこと。 「オレは甲子園がゴールじゃない。その先のNPB、MLBで活躍することがゴールだ」と考えている選手もいるでしょうが、「高校球児の時に甲子園に出る」は高校生の時でないと達成できません。
当時しか出来ないことを当時出来ないこと(例えば小学生から塾に行きまくってあんまり遊んでないとか)ってやっぱり後悔の二文字となって残っちゃうのではないでしょうか。
打ち込むものがそこにあるか。こんなことを以前書きましたが、やはり同じ方向を目指す仲間と部活をやるのはかけがえのないものです。 やりたくても今出来ないわけですね。
芦屋学園のシステムでも「プロを目指す」という目標がありますが、やはり僕の感覚では少しドライなイメージを受けます。
水島新司さんが描いたあぶさんが僕は大好きなのですが、このあぶさんでこんなエピソードがあります。
主人公・景浦安武の息子、景虎が中学3年生(14歳)でダイエーホークスにドラフトで指名されます。 父と同じチームでプレー出来る、と入団する決意をしますが、父・安武に止められます。「トラ、高校にいけ」、「高校でしか味わえないモノがある」と。 それは当時同じチームメートだった井口選手にも同じようなことを言われ、景虎は高校へ進学します。 (ちなみに高校でお山の大将だった性格から仲間のことを考えれるプレイヤーに変わりました)
とまぁ、これはあくまで漫画の世界で、「高校の部活とドラフト」ですし、今回の話はちょっと離れてしまいましたが、やはり高校でしか味わえないモノがあると僕は思っています。
新しい取り組みにはすごく賛成です
花巻東の156cm、千葉選手から考える「正々堂々とは何だろう?」というお話 | TRAVELING
以前書いたエントリです。 高校野球にはよくわからない「高校野球特別規則」というものが存在し、この千葉選手も苦しめられたのは記憶に新しいことかと思います。
プロとしてやるなら、こうした「自分を活かした武器」を磨くことも大事でしょうし、それを否定する権利は高野連にはないはず。 ただ「正々堂々やっているっぽい」ことを見せるのが使命だ!と老害がいきまいてることなのでしょう。
甲子園が目標としてではなく、あくまでその先をゴールとして見据え、甲子園で過密日程で投げすぎることなくプロの指導の元キッチリと結果を残して、新しい道を切り開いていってほしいと思います!
おあとがよろしいようで。